有名な神話をモチーフにした物語……作中の『ふたり』を救いたい一心から書き始めた長編です。どうかご賞味ください。
――『清いもの』『善いもの』を愛するあまり、『善くないもの』への憎しみを抱く天使長ルシフェル。
ルシフェルはやがて神に反逆し、堕天して『魔王ルシファー』となる。魔王となった双子の兄を、『新たな天使長』ミカエルはそれでも愛している。
ミカエルのやり場のない怒りは、妹のイエス・クリス・テへ向けられる。「本当だったら神の御子は兄さんなのに、お前がいるから兄さんは――!!」
イエスはそんな兄の言動に堪えきれず、母なる神にこう願う。「妹がひとり、ほしいのです。このイエスを誰より何より愛してくれる、そんな存在がほしいのです……!!」
絡み合う想い、こじれて爛れていく関係。
よにんの兄妹と、『不万能』の神の創りし全ての命に、救いはあるのか――。