過保護な神様に守られていたはずの倉持敬大（くらもち・けいた）は17歳で死んでしまった。 　神様曰く「守りきれなかった」そうで、代わりに望む世界に転生させてくれるということだった。 　死んだのは自分の自業自得だと思っていたが、神様の厚意に感謝し、そうさせてもらうことにした。 　そうして第二の人生を送ることになった敬大だったが、神様の過保護で望む以上のスペックを持たされていた。 　それをどうにか上手く隠しながら、望むのが平穏無事で自由気ままな人生。 　さて、どうしようか。

　　人の悪夢を解決することを生業とする〝夢見屋本舗〟。 　そこの店主煌春星(ファン・チュンシン)と幼馴染の緋宮桜夜(ひのみや・さくや)は夢で成り立つ〝夢界(むかい)〟の住人で、〝夢界〟は〝ユメクイ〟が人の夢を収集することで維持されている。 　人間界と〝夢界〟を股にかけて春星は人の夢を守る。

　桜は日本人にとって特別なものだ。故に春もさかりとなると桜を愛で、共に語らう。しかし、桜の名所である三条川にある女が姿を現したことで、そうもできなくなってしまった。そこで龍介にその異変を解決するよう依頼が来た。 　異変の元凶の女と対峙する中で、士郎と龍介にはそれぞれ桜と共に湧き上がる想いがあり… 　 　

　親代わりだった祖父を亡くした仁野士郎(じんのしろう)はひょんなことから古屋龍介(ふるやりゅうすけ)に引き取られた。 　以来二年近く龍介の家で居候兼下働きをしているが、士郎にはもう一つ仕事があった。 　それは龍介に頼まれるお使いだ。龍介は〝相談屋〟で、人でないモノや用件についての依頼が舞い込む。いつも奇妙なことを理由も告げられることもなく頼まれるのでもう慣れてしまった。 　その日士郎が頼まれたのは依頼人の元へ行き、依頼の品を受け取るという至極まともなものだった。しかし龍介のお使いが普通のお使いのわけもなく…