西欧で翻訳された『千夜一夜物語（アラビアンナイト）』の流行が中東へ逆輸入されていた時代。 　ガラクタ売りの少年アラババは砂漠の市場で細々と暮らしていたが、奇怪なランプに寄生される。 「願イヲキク！　タダシ三年ダケ！」 　ランプから這いずり出た怪物はカニとカマキリを合わせたような姿で、新鮮な人肉を必要としていた。 　アラババは常識感覚の怪しい魔神もどきと駆け引きしながら、もぐりの医者で荒稼ぎを企むが……たぶんハッピーエンド。 （＊最終改稿２０２５年５月）

身も心も捧げつくして、憎悪だけを返されて。

　化けいたちにひろわれ、喰われるために育てられている化けいぬと化けねこがいた。 　ねこ姫は喰われるよりも捨てられるほうが怖いと笑い、いぬ童子をからかって暮らす。 　いぬ童子はねこ姫に腹を立てながら、母上と呼ぶ大いたちへ懸命につくす。 　人にとって妖（あやかし）の生きかたは奇怪なものだったが、人もまた奇怪な生きかたはしていた。

　かの名君は律儀と狂気で知れ渡る。 　その奴隷は憎悪と怨嗟を集めてほほえむ。 　自由すぎて不自由すぎるふたりが鮮血でつむぐ叙情譚。 　 　豊かにして幸福なる『地獄の島』では義理堅き『悪魔公』と慈悲深き『死神の落とし子』が身を尽くして破滅を華やげていた。 　残忍や卑劣すら賞賛される剣闘場で『人殺し職人』は過度に歓待され、勝利の報酬は限度もみさかいもなく、大観衆は惨劇に酔い叫ぶ。 『狂気と冒涜にまみれた罪人』とは彼か彼女か我々か。 　それを決められる者など、どこに存在しただろうか。 　 　＊第一章完結しました。　＊第七回ネット小説大賞の一次選考を通過しました。

　感染して増殖する妹。 　孤島の海水浴場に迫り来る妹の大群。 　学園ラブコメ残念系パンデミックというツッコミ待ち群像劇。 　　 【出オチ感のすごい物語でがんばる登場人物たち】 　「栗也」尻にしかれ系の熱血格闘男子。 　「栗沙」栗也と双子のもさもさ実妹。 　「春梅」王子様な格闘女子。 　「杏理華」女王様な格闘女子。 　「竹見」女教師枠。 　「柿沢」学級委員のクール女子。 　「梨保子」内気女子。 　「夏実」誤解されがちギャル女子。 　「小桃」創作女子（自称） 　「姫苺」地元密着しすぎアイドル声優。 　「真桑」ショタ枠……なのか？ 　「松小路」ほんわかクズ男教師。 　「栄田・備井田・椎田・泥田・伊居田……」命名段階で見捨てられている端役男子たち。

　ゲーム中のあらゆるルートで悲惨な最期を迎える悪役令嬢が、現実世界の肉体を得た。 「分岐ルート無限の常時選択、セーブも中断も不可……なんて恐ろしい仕様！」 　がんばれ！ 「ヒロイン役の行動選択……『懐柔』と『洗脳』を主要戦略にしなければ！」 　がんばっていいのか！？ 「これぞ相手の敵意を利用するカウンター攻略奥義！『冤罪目撃（サーチ・アンド・デストロイ・トラップ）』！」 　応援していいのか！？ 「これのどこが楽しいのでしょう？」 　がんばれ！！ 「私は今の場面だけを永久リプレイしたいのに」

流れ星がどこへ降るかわかるようになった『星呼び』は、都で名声と財産の荒かせぎをはじめる。 みんなに腕力を頼られる『勇者』は、貧しい村のため井戸掘りにはげんでいた。 ふたりの願いはなかなかどうにも、かなわないまま。 それでも星へ願いつづける。

バレンタインにいらつくカタブツ女子が思いつめて暴発。

　清廉すぎる少女は人喰いの巨大怪物にすべてを捧げた。 　校内避難放送からはじまった人喰い地獄は広がり深まり正気も喰らう。 　ありふれた町に渦巻く流血悪夢の純情ロマンス。 （＊全１４話を全２７話に再構成しました。＊最終改稿２０２５年５月）

　異能力者たちは秘密裏に収監されている。 　研究主任の冬華は平和的解決（自称）に過剰な意欲を燃やし、多くの職員に支えられながら残念少女と思われていた。 　神にも匹敵する究極能力『おさななじみ』を手にした少年の末路は。 　災害級の能力『どエス』と『どエム』を制御できないふたりの選択は。 　出口の壊れた迷路『ツンデレ』と『ヤンデレ』に囚われたふたりが見る世界は。 　新人助手の秋実は非情な職場とろくでもない上司に翻弄されながら異能力がもたらす悲喜劇を目撃し、人類の未来とかはさておき、それなりに仲良くできたらいいなと思いつつ、ふ菓子をむさぼるだけだった。