雨が降る日は、いつも決まって彼がいた。
彼が誰なのか思い出せないが、とても懐かしくて、どこか恐ろしい彼を僕はきっと知っている。
僕は8歳の小さな子供だったのに、目覚めると僕の体は大人になってしまっていた。
深い、深い眠りについてた気がする。
眠りにつく前の事を思い出そうとすれば、燻んだ雨雲にその記憶を塗り潰されてしまう。
僕とは一体なんなのだろう。
自問が繰り返される中、彼はいつも雨と共にやって来た。
そして彼は言った。
『今度こそ、お前の命を貰う。』と。
雨雲は、死神達を地へと運ぶ。
シンシン、シンシンと。
音も無く、静かに。
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(BL要素注意)
記憶を失い突然成長した青年と青年に恋をした死神のお話