ソロキャンプが趣味な青年、新谷景助。
いつも通りキャンプをしていた彼の身に突如として降りかかったのは、焚き火の火の粉ではなく異世界転移という困難であった。
謎の夢から目覚め、テントから出たら外の景色が一変──見たこともない景色へと変わっていたのだ。
だだっ広い世界にたった一人で放り出されてしまった景助。手元に残されたのは愛用のキャンプ道具たちだけ。
呆然と立ち尽くす景助にたまたま通りかかった女冒険者が救いの手を差し伸べてくれなかったら、今頃死んでいただろう。
──それから一年。
色々あったがたくさんの人の協力のお陰で異世界で過ごしていけるだけの基盤も整い、異世界転移の特典として得た〝サーチ〟能力のお陰で趣味のキャンプに興じられるくらいの余裕も出てきた。
やがて景助はこんなことを考えるようになる。
「この世界でもっとキャンプしてみたい」
地球には存在しない光景が異世界では無限のようにある。そこでキャンプができたら最高に楽しそうじゃないか、と。
景助は今日も道具を担いで相棒と共に王都『ハルファルト』から外に出る。
──いつかキャンプの旅に出られるように。