何年もひきこもりを続け、現実世界と隔絶された生活を送る女・ナツカには秘密があった。 それは、人気ライトノベル作家「高峰ナツカ」にSNS上で成りすまし、長い間彼女を演じ続けている事。 フレンド登録された1000人のファンはナツカを本物の作家・高峰ナツカと信じており、ナツカが日記を更新するたびに熱烈なコメントを寄せる。 そして、ナツカも現実では味わえない「大勢の人々の称賛を浴びる」という快感に酔いしれていた。 しかし、ある時そのファンの筆頭であるクララが「先生に会いたい」と言ってきた事から状況は一変する。 クララが告げた彼女の本名。 それは、誰もが知る有名雑誌モデル「本庄くらら」の名だった。 クララのFacebookのページにはひきこもり生活を送るナツカとは真逆の、充実した華やかな生活を送る彼女の姿があった。 さらにはそこで、ナツカは本庄くららが自ら本を執筆していた事を知る。 自分とは違い、「小説を書く」という事を知っていたクララ。 彼女はナツカが本物の高峰ナツカでないことを知っていたのか。 知っていて今までファンを演じ、ナツカを弄んでいたのか。 惨めさと激しい羞恥心、そして嫉妬心に苛まれたナツカはその夜、夢を見る。 そして、その夢に出て来たクララは―――――。
(mixiの日記に公開した作品に手直しを加え、転載します)
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