俺は転生者だ。前世では何も考えずに無難に生きていた。だがある雨の日会社に行く途中濡れた駅の階段で滑って落ちてあっけなく死んだ。
そして気が付いたら異世界に転生していた。さらにチートだった。身体能力や魔力がバグってるんじゃないかというくらいチートだった。
俺はこの力を使ってこの世界で無双してやろうと思っていたのだがやめた。理由は俺にはものすごく仲がいい幼馴染の娘がいて、このままこの村でかわいい幼馴染と結婚してスローライフを送るのもいいんじゃないかと思ったからだ。
俺が森で狩りをし、妻となった幼馴染が家で家事と子供の面倒を見る。前世でも少し憧れていた田舎暮らし。素晴らしいと思う。幼馴染も賛同してくれた。
俺はこのまま何事もなくこの理想の未来を手に入れることができると思っていた。
あの日、あの男、村長の息子が勇者に選ばれるまでは。