主人公――天野 歩翔は学園生活に頭を抱えていた。 誰もいない生徒会室。手付かずのまま放置された期限が明日迄の書類。突然やってくる二人の転校生の対応。全ての仕事をこちら任せにする生徒会長にほとほと困り果てていた。 「今日も疲れたわ……」 そんなことをぶつくさ言いながら帰宅した歩翔は最近ニュースで話題になっていた神隠し事件に遭遇する。 「今の自分が立っている世界は実は偽物だって信じられるか？」 その事件が、歩翔の住む世界をガラリと変えてしまうキッカケとなる。

全てはあの日から始まった。握り損ねた手。血塗られた惨劇のクリスマス。世界を平和へと導こうとする独裁者。一度狂ってしまった歯車は、おかしくなってしまったことに気づくこと無く回り続ける。怒りは惨劇を生み、悲しみは憎しみを生み、後悔は未来を断つ。これは、その歯車が―――運命が狂ってしまった少年とその友による、ひとつの世界を相手取った物語である。