クリスマス・イブ。恋人が出て行ったその日に、春子の前に現れた男の背中には黒い翼が生えていた。男は弱々しげに言う。
「――悪魔です、すみません」
「ちょうどさっき、部屋がひとつ空いたのよ」
この部屋にひとりでいたくない。相手がだれであってもかまわない。そう、たとえ悪魔だとしても。
ニックは呆然と春子を見ていた。まるで悪魔に魅入られた人間のように。
心優しい悪魔と、過去を隠して振る舞う気の強い女。
奇妙な同居生活が始まった。
恋愛 ファンタジー ハッピーエンド アイリス恋愛F大賞
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