両親が事故で他界した幼き頃の孝行は父親方の柊崎家に引き取られた。
孝行の父方の祖母に当たる和子は厳しくも優しい人であった。
突如両親を亡くした孝行は最初こそ祖母に苦手意識を持っていたが、歳を重ねるにつれて祖母に懐くようになった。
そんな祖母に育てられすくすくと成長した孝行は高校卒業後、美容専門学校に入り、美容師となった。
美容師となって数年、孝行は自身の才能もあって美容師として一人前に成長した。
そんな折、仕事から帰宅すると祖母が倒れていた。
慌てて救急車を呼ぶも時すでに遅し。
今朝仕事に行く時見送ってくれたのを最後に元気だった祖母は亡くなってしまった。
柊崎家は元々地主の家柄。
家の敷地は結構広く、多額の遺産も残してくれた。
しかし唯一の心残りとしては、祖母に自分は何も返せなかったことだ。
祖母の遺品を整理している際、押入れの床面に隠し扉があった。
隠し扉である床板を外すとそこには階段があった。
家に地下があったことに驚きつつも地下室に降りることにした。
どうやら地下室は戦前個人宅の防空壕の役割を果たしていたようだが、戦後は食料庫の役目も果たしていたらしい。
地下室にはこれといって何もなかったが、祠のようなものがあっただけ。
祖母の部屋から入った地下室だが、地下室にはもう一つの道があった。
家の立地から考えるとおそらく台所の方に行く道があり、孝行は歩を進める。
階段を上り天井面、台所の床板を外して出た先。
そこには若かりし頃の祖母の姿があった。
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