――その昔に猫又が住んでいたとかいないとか、バランス感覚の良い猫さえも転げてしまうほど急な坂だからとか、あやふやな理由でここは猫又坂っていうんだって。 猫又坂に迷い込んだ海里もとい朱音は、自らが抱えた使命を果たすため奮闘するはずだった。

――1人の少女の不思議な夢から始まり、お姫様の魔法で終わる―― 少女、梨央の知る世界はつまらなかった。 世界各地に大きな穴が開き、そこの中に落ちてしまうと絵本の中とそっくりの世界に入ってしまう。年々地球を蝕むへんてこな穴の中の世界。 「つまんないね、こんな世界」 平和を貪る学生らしい言葉を吐き捨てて、魔法少年もしくは魔法少女は穴の中へ飛び込んでゆく。少しでも刺激的な世界を求めて。