「私の夢を、邪魔しないで」
そう言って、少女は俺へと刃を向ける。
彼女の名はレナ。
異世界へと強制的に喚ばれた挙句、肉体を異形へと改造され、生体兵器『骸装体』として望まぬ殺人を強いられてきた。
「私は、転生する。居るべき世界で、ふつうに暮らすんだ。あなただって――」
そう、俺もこの世界に強制転移させられ、骸装体にされてしまった異世界人だ。
この世界を憎む理由は十分過ぎるほど抱えている。元の世界だって、恋しい。
けれど、
「ダメだ」
俺は、見てしまった。
彼女が望む転生には不可欠な、4騎士と異形天使たちによる"選定"――理不尽な死を押し付けられる人々の姿を。
踏み躙ってはならないものが、蹂躙されていく光景を。
だから、俺は――骸装(ガイソウ)する。