これは、人間の国から戦争を吹っ掛けられそうになった魔族の国の軍人が、戦争を避けるために頑張るお話。
少女のヴァンパイアの上司が呟いた一言
「ねぇ航空参謀。ちょっと…山脈を越えて様子を見てきてくれない?」
「閣下。コレはペーパーテロであります……」
これが、サキュバスのメリィとその部下たちを、険しい大山脈の向こう側のヒューマンの王国へと導いた。
王国では、政治が行き詰まり、国民の不満をそらすために魔族達が住まう魔王国の進攻を計画する。
その一方で、魔王は戦争による無用な流血を避けたいと考えており、メリィたちの任務はその意向を反映していた。
「そこで、参謀本部から指示が来たの。少数の特殊部隊を送り込んで彼らの情勢を調査し、国内に反戦世論を醸成させる。それで侵攻計画を頓挫させれば多くの命が助かるよね」
「閣下の砲撃から隣国の農民兵の命を守るのですね」
「…間違ってないけど、言い方酷くないかな……」
彼女はぷくーと頬を膨らませた。