二週間ほど前から聖司は写真部を名乗る少年、真崎に付きまとわれていた。写真を撮らせて欲しい、というのだ。あんたを壊してみたい、と笑う真崎が見せた写真の一枚に、ぎくりとなった。それに写っていたのは聖司だ。――虚像でかためた聖司を、真崎が誇らしげに語る。
「でも、俺のじゃない気がするから、もう一度撮らせて欲しいな、と」
そう言った真崎へ、無表情だった面に聖司はくっきりと笑みを刻んだ。じゃあ、来ればいい、と真崎を家に連れて行く。
そこで待っていたのは、聖司を他界した父親と重ねる母との陰惨な家庭事情だった。
求めるものが何だったのかを真崎に見せ付けた聖司は、ある日、奴が写真部を辞めたことを知る……
作品情報
ヒューマンドラマ[文芸]
残酷な描写あり
最終更新日:2015年07月11日
日常 青春 サスペンス 現代 母親 親友 トラウマ シリアス 写真 狂気 子ども 高校生 家族 愛情
読了時間:約94分(46,732文字)