平成27年7月10日、首相官邸に謎の飛行物体が出現した。その中からあらわれた紫肌の女性は自らをルナブルーム星間王国女王のアウローラ・ルナブルームと名乗り、最後通牒を首相に手渡した。
1. 日本国は、ルナブルーム星間王国に対する一切の敵対行為を行ってはならない。
2. 日本国は、その一切の統治権を完全にルナブルーム星間王国女王陛下に譲与すべし。
3. 日本国天皇陛下及び皇族の地位、並びに日本国国民の生命、身体、財産その他の諸権理は、保障される。
別に定める実施条約をして30日以内にこれらを受諾せざるときは、日本国は、消滅するであろう。敵対行為を行った場合も同様とする。
この宣戦布告の内容……大東亜戦争敗戦以来の未曾有の危機に、国中が戦慄する。臨時国会が召集され、衆参両院において宣戦布告書の内容の受諾,並びに実施条約の批准を含む全外交権限の内閣への委任を決定。日本国の歴史はこれで終焉を迎えたと国中、いや世界中の人々が確信した。
そのような確信とは裏腹に、ルナブルーム星間王国は、日本国の存続と制限付きの統治権を認める。そして、その国富を惜しみなく日本国に注ぎ込むとともに、戦後日本に溜まっていた澱みを祓っていく―
仮に地球の国際法を適用できるとすれば、ルナブルーム星間王国の行為は明らかに国際法違反であり、武力行使を受ける可能性もある……その他の様々な要素を考慮してもメリットとデメリットが吊り合わない。
にも関わらず、ルナブルーム星間王国が日本国に固執するのは、日本国の2000年以上に渡る悠久の歴史と女王自身に理由があった―