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連載 19エピソード
 戦国乱世において、東伯耆の国(現在の鳥取県中部湯梨浜町)の河村郡松ヶ崎城にて生を受け、久米郡岩倉城主として兄南条伯耆守元続を支え、毛利と織田の勢力抗争の中でも領国を守り抜き、六十四年の生涯を善く生きた。  秀吉の朝鮮出兵では、南条勢千五百の兵と共に朝鮮に渡海し、加藤清正の危機を救った。  関ヶ原の戦いでは、攻め寄せる肥後熊本の加藤清正の軍勢から、小西家宇土城を守り抜く。  その後は、旧友加藤清正に乞われ、加藤家の客将として知行六千石で迎えられた。  二人の間には、「徳川政権から、豊臣秀頼を守る」密約で固く結ばれていた。  清正の遺言で、秀頼の守護を託された南条元清は、出家し名を南条元宅と改め、開戦まじかの大坂城に出向くため上京するが、道中でにわかに発病し、京都で療養の甲斐なく生涯を終えた。  困難な時代背景の中で、元清の生涯を通じて郷土愛、兄弟・家族愛を全うした生き方には、今でも学ぶべき事が多い。戦国時代の狂乱の中でも、私利私欲に溺れる事も無く、自身を抑制し、時代に翻弄されることも無く、晩年を汚す事もなかった。東伯耆三郡の領主として統治した期間は短かったが、羽衣の里(湯梨浜町東郷湖周辺)の情景を想うたび、故郷に帰還できなかった寂しさを心に秘めたまま、京都で生涯を終えた事を想うと心が痛む。戦国乱世を生抜いた、東伯耆武将南条元清の生涯を通じて、その生き方に現代でも学ぶ事は多い。そこには、郷里を守ろうと必死に生きた多くの武将の姿があった。
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歴史[文芸]
最終更新日:2023年03月08日
東伯耆の戦国武将 小鴨元清 南条元続 倉吉打吹城 倉吉の戦国武将 山陰の戦国武将 尼子勝久との別れ 湯梨浜町羽衣石城 湯梨浜町戦国武将 湯梨浜町松ヶ崎城 水郷祭浪人踊り 久米郡岩倉城主 湯梨浜町の武将 亀井玆矩の盟友 東郷湖の戦国時代 読了時間:約494分(246,842文字)
連載 1エピソード
 関ケ原の大戦で東伯耆(鳥取県湯梨浜町)を領国として統治した、十代南条中務大夫元忠は流浪した。  叔父の南条左衛門尉元清は、肥後熊本で旧友加藤清正に六千石で客将に迎えられ宇土城代として仕えた。  元清には、父南条家八代城主備後守宗元が密かに隠した「南条家存亡の危機に備えた軍資金」の行方が気になった。兄九代城主南条伯耆守元続・舎弟南条右衛門尉元秋と一緒に宗元の遺言で聞いた「南条家再興の軍資金」について、今は亡き兄弟に変わって、自身が南条家再興のための動きを意識するのだった。
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歴史[文芸]
最終更新日:2017年08月07日
時代小説 東伯耆の南条氏 湯梨浜町の戦国武将 東郷湖の軍資金 読了時間:約6分(2,744文字)