私は退屈だった。退屈で退屈で退屈で仕方無かった。何にもない生活がずっと続く。人によってそれは幸せかもしれない。だが、私には苦行であった。死のうかとも思った。
そんな中見つけた異世界へ転生するための本。その中にある呪文。試さない手は無かった。
今では後悔する時もある。所詮は退屈を誤魔化す、若気の至りのような行為だったと言わざるを得ないとも思っている。幸せ者の馬鹿な考えだった過ぎない。そう考えている。
だが私は決して今、不幸ではない。今も今後も、その時は訪れない。
昔の私は不運で不幸で仕方が無いと思っていた。だからこれは進歩だ。転生して良かったのだと、心から思う。