遠い遠い昔、まだ魔法が人々の暮らしの中に息づいていた時代。ヨーロッパのちょうど真ん中にある不思議な国がありました。
その国を治めるのは穏やかで優しい王様ですが、それぞれの季節を司るのは辺境に住む由緒ある貴族の娘達でした。
彼女たちにはそれぞれ役割に合わせた『名前』が有りました。
春の女王はプランタン、夏の女王はエテ、秋の女王はオトンヌ、そして冬の女王はイヴェールといいます。
彼女たちは生まれながらに魔法の力によって不思議な力を与えられ、国の為に大切な仕事をしていました。
それは、王国の首都にある美しい塔に1年の内3か月だけ女王として過ごすと言うもの。
ある年、とても長い冬がありました……