新学年早々、イジメにあってしまったのは不運なことだけど、親友にまで裏切られるとは思わなかった……。
泣き濡れていたある夜、『千と千尋の神隠し』的な神様世界に迷い込んでしまう。
これは夢?
月夜の海に浮かぶ、美しい屋形船。
にぎやかな宴会場では、八百万の神様たちが舞い踊る。
案内してくれるのは、気品漂う美形の少年神──。
「そなたも宴に参加していけ」としきりに誘われ、気を良くして、のこのこついて行ったら、そこは期待を裏切るとんでもない光景が待っていた。
楽しい宴でもなく、竜宮城に乙姫様でもなく、八百万の邪神様と化け物どもが、殺戮の宴を楽しむ屋形船でした。
今宵は、舟の主様の御誕生日。
八百万の悪鬼や邪神を統べる、闇の世界の皇神のお誕生を祝う宴だといいます。
壮絶な美貌と、世界を滅ぼすほどの神力をお持ちの青年神は、人間である私が気に入ったらしく、この世界に閉じ込めようとします。
望み通りのお誕生日の贈り物をすれば、帰してくれるとおっしゃるのですが……。