「お前、猫は好きか?」
「……はい?」
久方ぶりに国へと帰還し新米領主となった男と、直々の指名によりその地へと赴いた侍女。
二人の久々の対面は、そんな台詞から始まった。
かつての傍若無人ぶりが嘘のように穏やかになった男は、傍らにそれはそれはうつくしい少女を連れていた。
「攫って来られたんですか?」
「違う」
これは、少しだけ成長したらしい領主と、領主を変えた少女と、そんな彼らに仕えるまったく動じない侍女のお話。
※その昔サイトに掲載していたお話をこちらで再掲。
和風ファンタジー 侍女
読了時間:約12分(5,525文字)