かつて観光と資源輸出で栄え、今は《帝国本土》との交通・通信が断絶して五〇年の月日が過ぎたダルマティア地方。
高等学院生のファリルは従姉妹のレミリアと共にある日、存在しない筈の《帝国本土》の人間が浜辺で倒れている状況に遭遇する。
翌日、学院で友人のカッティと話していると呼び出しを受ける。それは、とある島への招待だった。
事件を境に、大きく運命が流転を始める。存在しないはずの始まりの異邦人、五〇年前の真実、ファリルやレミリアの祖父世代の成した事、ダルマティア地方に秘められた謎、それらを知り、あるいは解き明かした末に少年はある決断をする。
<本文例>
ファリルは拘束の外された女性の前に立ってゆっくりと深呼吸してから言う。
「これから話す事はあくまで僕の想像です。ひとつだけお願いしたいのは、僕のこれから語る物語が一定程度真に迫っているのであれば、あなたの口から実際に何が起こったのかを聞きたいと思っています」
そこまで話してから、ファリルは彼女の表情を伺う。すると、薄く笑みを浮かべていた。それは、ファリルならあるいは到達できるかもしれないという期待か、あるいはできないだろうという諦念なのか。
「事の起こりは、浜辺のエルフィル以前、僕が歴史を調べ始め気付いたある疑問からです」
続けて、と彼女の縦に開いたトパーズのような輝きの目が雄弁に語る。
(ざっくりと主人公の少年が、気のいい友人や格好いい少女や渋いおじさまたちに揉まれて奮闘するミステリー仕立てのお話です)
※この作品はカクヨム様にも掲載しています。
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