聖夜に、男が一人死んだ。 飲酒運転の老婆に轢かれたのだった。 かわいそうに、と思いながら、警官のフックはやる気の出ない事故対応に当たった。 聖夜だというのに。 運のない奴だった。

もし自分の人生にタイトルがついていたら。 きっとどんなふうに毎日を過ごすといいのか、分かる気がする。 恋愛系なら前向きに、お仕事系なら根性たっぷりに、ギャグ系なら楽天的に。 そうだったら生きやすいのにな。 でもタイトルはついていないし、どんなものが待ち受けているのか、どう過ごしていくといいか、私たちはなにもかもわからない。 わからないけれど、とりあえず続いていく日々の（実在の人物に迷惑が掛からない程度にフィクションをおりまぜた）エッセイ。

田舎の高校に都会から転校生がやってきた。転校生の不思議な性格、どこか浮世離れした父親、彼ら親子を取り巻く謎の大人たち。それらすべてを抜きにして、正は転校生・葛西秋と一緒に新聞部の活動を始めた。 それはひと夏のちょっとした冒険だった。 （「愛妾」の後日譚、「記者と煙草と料亭と」の前日譚）

文学フリマに参加するまでのあれこれ

小雪さんと小春子さんはともだち。 二人はただ話をする。 何処へ向かうのか、何が待っているのか二人は知らないし、どこにも向かわないし何も待ってないかもしれない。

私の友人は美しい。とても、とても美しい。優しく、賢く、勇敢で。そんな自慢の友人。けれど時々息が詰まる。どうしても、息が詰まる。