―――美しく死ね。マダムCはそう遺して死んだ。（ずっと前から上官に狙われていることに気付かなかった部下が、外堀を埋められてから、あれもしかして…となる話）

不死族の彼女は数百年暮らした人間の国を裏切り、殺されかけていた幼い双子の吸血鬼の手を取った。それから二十五年、彼女はすっかり成長した双子に熊の獣人を加えた四人で暮らしていた。双子には異様に懐かれ、熊の獣人の思いには見て見ぬふりをする毎日。そんなある日、彼女は軍部の人間がいまだに自分たちを追っていることを知る。その上、同族の叔父に長年の想いを告げられ―――。

劇団フロスルードの頂点に立つルナティアはよく食べる。彼女の下宿部屋では、毎晩殺し屋の青年が夕食を作っていた。胃袋を掴んで心を手に入れようとする青年と、彼に愛されているのに気付いていない少女の話。