迷路のように張り巡らされた背の高い緑の垣。それを抜けた先に、その図書館はあった。
太陽と雲の模様が刻まれた重厚感のある扉を開けば、紙の甘い匂いと気さくで不思議な司書があなたを迎えてくれるはずだ。
そして彼はこう語りかけてくることだろう。
「ようこそ、ここは八重垣図書館・天の浮橋。
外つ国に伝わる古典文学から知る人ぞ知る同人誌まで、古今東西ありとあらゆる物語を集める、まほろばの図書館だ。
さあ、とっておきの物語を探そうじゃないか!」
天と地を繋ぐ橋の端にあるその場所に、今日も様々な利用者がやってくる。
これは、そんな利用者たちと物語とを結ぶ図書館で起こる、なんてことのない日々のお話───。