作品一覧全4件
短編
子供の頃、夢をみなかった。
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童話[その他]
最終更新日:2018年11月24日
読了時間:約9分(4,176文字)
短編
「ラーメンが好きなんだね」  僕はその問いにはっきりとは返さなかった。というのも、僕はラーメンが好きだから食すのか、ラーメンがあるから食すのか今ひとつわからなかったからだ。 「一般的に言えば好きかもしれない」 「特殊的に言えば違うみたいだね」  それには何も答えず僕は箸に絡みついた麺を啜った。それでは物足りずにどんぶりごと汁を過去を洗い流すように飲んだ。 「身体に障るぜ」 「ねえ」僕はひと呼吸おいて「僕がラーメンを食べる理由はわからない。それは認める。だけど、少なくとも、健康になりたいからではないんだ。だから余計なことで僕を苛つかせないでくれ」 「それは可笑しい。きみは生きるためにラーメンを食す。それにも関わらず不健康のために命を削ったら意味なんてないじゃないか」 「食えるときに食わなければ明日にもぽっくり逝っちまうかもしれない」  僕は箸を置いた。今を生きなければ僕はこの箸を置くことすらできないのだ。 「僕は長生きをしたいわけじゃないんだ。今を生きていたいんだ」 「今の積み重ねが未来につながる」 「人はひとりでは生きてはいけない」 「?」 「僕はこの店にラーメンを食べさせてもらっている。そうだろう? だけど、食べる人間がいなければラーメンを作る人間が食いっぱぐれる。僕は人間である限り誰かが創ったラーメンを食し、ラーメンを創る人間を食わせなければならないんだ」  厨房に目を向ければ還暦をすでに過ぎ去った老職人が我々の目も気にもとめず、スープを見据えていた。それは単なるスープではなかったかもしれない。未来であり、過去であったのかもしれない。  僕はそんな老体に涙ぐみたい気持ちになった。
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ノンジャンル[ノンジャンル]
最終更新日:2016年03月02日
読了時間:約2分(525文字)
短編
神様へのお願い事はひとつだけ。
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ノンジャンル[ノンジャンル]
最終更新日:2015年12月22日
青春 掌編 team K 読了時間:約3分(1,494文字)
短編
 地獄界に激震が走る。閻魔大王は生前、善人だった人間を地獄に送り、悪人を天上道に送った。獄卒の法八は閻魔の真意を妄想する。
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ノンジャンル[ノンジャンル]
最終更新日:2015年04月03日
獄卒 地獄 天上 天国 閻魔 偽善 ぼっち 読了時間:約3分(1,245文字)