遠い昔。世界は災厄の炎に包まれた。
数多の国家、数多の人々が傷つき倒れていく中、西の空から禍々しい竜たちが降り立つ。
彼女たちは自らを《女竜》と呼んだ。
女竜は災厄を退け、世界に平穏が訪れた。
禍々しい竜は麗しい娘へと姿を変え、生き残った人間は彼女たちを歓迎した。
人々は女竜に願う。
「どうかこの先も、平穏のためにこの地に在ってくれないか」
女竜は人々に応えた。
「ならば繁栄のために《男》を差し出せ」
女竜は数多の小国を築き、それらを束ねて帝国を作り上げた。
人間の上に女竜が君臨して以来、数千年。
今日もまたひとりの女竜が《飼い人》を愛でる。