「……誰だよお前は」
雷鳴が轟く豪雨の中、日が沈み人気の無い閑静な路地に、目の下までフードを被った全身黒ずくめの男が進路を塞ぐように立っていた。
その男は何かを片手に持ちこちらを向いて無言で笑みを浮かべていた。明らかな危険を感じつつも、そのあまりに不気味な光景にしばらく俺はこの場を動けずにいた。
すると男は少しずつこちらへ片手に持っているなにかを向けながら歩き始めた。
(……おい、なんだよ勘弁してくれよ‼︎)
あまりの恐怖に声が出ない、身体が動かない。少しずつ後ずさりするのが精一杯だった。
相手はどんどん近づいてくる。助けを呼ぼうにもこの雨の中では確実に聞こえないだろう。走って逃げるしか無い。だが身体がいうことを聞かない。
(……殺される!!)
死を目の前に感じた時身体が動いた。すぐさま相手に背を向け走り出す。
だが既に遅かった。俺の身体が動き始めると同時に相手は早足になり俺をめがけて獲物を見るような目で向かってきていた。
そして次の瞬間、左胸部に鋭い痛みが突き刺さる。
(俺……死ぬのか?こんなとこで、こんな見ず知らずの奴に刺されて……)
背後からひと突き、みるみるうちに血が溢れていく。
普段テレビで見る通り魔のニュース。いつも無関心で見ていた。自分が遭遇するわけがない、全く無関係の出来事。
それが今自分の身に降りかかりなんとなく後悔するような、そんな気持ちになった。
段々と遠のいていく意識。走馬灯のようなもの
はなく、考えられたのはそのことだけだった。
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