~~要約~~
人魔大戦勃発。魔王に操られ、人間を見事討ち滅ぼした世界最強たる魔王軍幹部のぼくは、しかし魔王に裏切られ殺される。すると10年前の貴族令嬢に転生したので、歴史の知識やスキルを活かし、今度は人間を率いて魔王軍を倒し世界を救おうとする。
しかしどうやらこの世界線にも最強たる元の自分はいるらしく——!?
というはなし。
~~梗概~~
ある日勃発した人魔大戦の結末は、人類側の全滅という魔王軍の圧勝で幕を閉じた。
"ラーゼオン"はその大戦の英雄である。彼はなんとこの大戦において、人類のおよそ全てをその手で葬っている。皆は彼を讃えた。しかし彼自身は、その結果に出来上がった暗黒の世界に深く絶望していた。
"なぜぼくは人を皆殺しにしたのか?"
その答えは魔王にあった。魔王は全血族を意のままに操る術により、彼に無理矢理虐殺を遂行させていた。
秘密を掴むも、奸計により無念のまま魔王に殺されるラーゼオン。
だが次に目を覚ました時、彼は10年前の世界にいた。開戦前のその時代に生きる人間の貴族令嬢"ジェシカ"に転生していたのだ。
ただしこの世界にもかつての自分である"ラーゼオン"は存在している。歴史通り戦争が始まれば、人類は皆殺しにされるだろう。
そんな中で、魔族とはまるで違う、人間の温かみに触れ、やがて彼は決意する。
『人間を守ろう』
最強だった自分を殺せるのは、自分しかいない。
歴史を変える。
自分を殺し、人類滅亡の未来を回避するのだ。
そうしてジェシカはひ弱な人間の身体を鍛えあげ、大戦に勝利するべく行動を起こしていく。