どこにでもあるような家庭に生きてきたつもりが大人になって、あれは人間としてあってはならない家族の形だと気づいた人の回顧録。
幼少期に母からは姉の成長のために産んだと言われ、定期的に暴力を受け、父親の仕事すら知らずに、姉に精神的肉体的暴力を振るわれる毎日。
自転車も逆上がりも縄跳びも一人で練習し、かけっこで一番になっても褒めてもらえない。
姉の八つ当たりを受けつつも日々勉強を積み重ね、特待生でも主席でも満点でも褒めてもらえない。
ただ、こっちを見てほしかった。私という人間を、姉の妹ではなく、私を、認めてほしかった。
望まざるとも積み重ねてしまったものは消えることなく、腹の底に溜まり続ける。
それは私の人としての生き方を縛り、足枷となる。
そんな実態のないものを直す方法なんていつまでたっても見つからない。
たった十数年の出来事が、これから先の私の一生に、ずっと透けて見えることになる。