最近街にアル中患者が増えている。
原因は、レッドスターという名前の安物のウォッカが急速に出回り始めたせいだ。工業用アルコールと工業用排水を混ぜたようなひどい味なのに、不思議と一度飲むと癖になって、最後には何本もビンを抱えて飲み続けるほどになるらしい。
アル中患者の行く末は悲惨だ。特に都市機能の麻痺したこの街では収容されるような施設もないため、冬にもなると普通ならビンを抱えた野晒しになるのが常だ。しかし、いまだその赤い星の印刷されたビンを抱えて、冷たくなっている者は発見されたことがない。
私立探偵モールス・アンダーソンは、友人のボブ・ゲイリーがこの酒に手を出して失踪してしまったことを知る。彼の妻であるキャロラインに依頼され、ボブの友人たちとともに捜索を開始する。
~20世紀末アメリカ、ポスト冷戦のヘドロが流れ込む悪徳の街の物語~
※※動画版(http://www.nicovideo.jp/watch/sm26680972)のネタバレとなりますのでご注意下さい。
クトゥルフ神話 SF ホラー ハードボイルド 現代(モダン)
読了時間:約117分(58,035文字)