「ゆえに私はマスターのもの。マスターの役に立つことこそが私の存在意義なのです」
魔術が存在し、現実とは異なる歴史を辿った世界。
『蒸気機関で魔術によらずとも人々の暮らしを豊かに』と志す大学生の青年チャーリー。ある晩、彼の作り出した計算機は美しい赤毛の少女になり、メアリーと名乗る少女は作り主をマスターと慕いはじめる。
時を同じくして、王国内に幾つもの怪奇的事件が発生。
――ドーバーの悪魔事件
――リーズ家の怪物事件
――ウィルモア卿暗殺事件
――マザー・グースの怪事件
――完全なるヒトガタ事件
偶然にも事件と遭遇したチャーリーとメアリー。王都ロンディニウムを舞台に、生まれながらに魔術ならぬ異能を宿す大学生と【機紅の従者】は、悪意によって編まれた蜘蛛の巣に巻き込まれていく。