作品一覧全2件
短編
翼をもった少女と、永遠を飛び続ける悲しい鳥の物語。
作品情報
童話[その他]
最終更新日:2015年12月18日
ファンタジー 宇宙 冬童話2016 読了時間:約20分(9,944文字)
連載 6エピソード
ベアトリスの一生を回想するのは、私にとって哲学に似ている。 一連の事件を経て、彼女は巷で悪魔の子と呼ばれた。それはまさしく彼女にふさわしい形容詞であったが、 今になって思えば、それは客観的事実でもあった。 16歳になろうかという冬、彼女は捕らえられた。聞くところによると、裁判中も暴れることもなくニコニコとして(不真面目とも思ったが)、おおむね大人しかったようだ。裁判を珍しがったらしい。純粋で悪戯好きな子供。最後までそんな印象だった。 私も一度傍聴に行った。傍聴席の私を見つけて、笑いながら手を振った彼女をいまだに忘れられない。 私にとってはそれが最後の彼女の姿となった。私は手を振り返せなかった。なにか言ってあげたかった。 異例だったことは言うまでもないが、彼女には死刑が言い渡された。 最終的に彼女はある監獄で留置中、17歳でその短すぎる一生を終えたといわれているが、その監獄は今は倒壊して廃墟となっている。 遺体は確認されていない。 彼女の超自然的な「力」――—破壊力とでも言おうか―――の秘密を解き明かそうと、研究者たちは躍起になっていたようだが、世論や司法がそれを許さなかった。彼女はそれを知る由もないが、処刑後、遺体を手に入れようと手を回す組織まであった。 人は皆、運命の奴隷だ。ベアトリスも自分の運命に振り回された人生だったのかもしれない。彼女のレールを作ったのは、彼女以外のものたちだ。ベアトリスに選択の余地はなかったのかもしれないと、今は思う。 彼女の力は、使い方次第でひとを生かすこともできたはずなのに、それを選ばなかったのは彼女だ。彼女の抱えていた破壊願望の身勝手さは擁護しようもない。だがその彼女の在り方さえも、私にはまるで…。 ベアトリスの一生がどんなものだったのか。 どうしても知りたかった。 そのために私は、 (以下、手記が破れていて読めない)
作品情報
ノンジャンル[ノンジャンル]
最終更新日:2015年12月04日
少女 ネット小説大賞 読了時間:約56分(27,561文字)