あるとき《物語》が探偵事務所にやってきて、私の物語の最初の嘘を暴いて欲しいの、と言った。
我らが私立探偵事務所は、探偵である僕と、助手兼魔法使いのポム子ちゃんの二人によって運営されている。密室殺人事件の解決、迷い猫の捜索から赤毛組合なる謎の団体の調査まで探偵的な悩み事なら何でも請け負う探偵事務所だ。
さて依頼もなく二人でしりとりをして時間を潰していた昼下がり、ドアがコツンコツンとノックのような音を立て何か公共料金の取り立てか幻聴かと訝しがりながらドアを開けるとそこには、中学生くらいの《物語》が立っていた。そして冒頭の台詞を言ったのだ。
「私の物語の最初の嘘を暴いて欲しいの」