「密室...か、素敵な響きだよね。本当に。」
これは、俺が語れる最近の昔話だ。
先に言っておくけれど、俺の生活する日常には、
銃撃戦のようなアクションも、サスペンスのような殺人事件も、学園モノのような甘酸っぱい恋も、剣と魔法のファンタジーも、何一つない。
ただ一つ、少しだけ不思議な出来事だけは、俺の身近に起きていた。
俺の話せる昔話は、そんな少し不思議な「怪談」だ。
恐ろしい悪意はないが他意はある、超常現象はないが種と仕掛けはある、怪異はないが人はいて、日常の中から怪談を作ってきた、そんな俺達によって出来上がった「噂と怪異帳」にまつわる出来事だ。