「そうだ、人は最初から自由などではない」
ほんの少しだけテクノロジーが進んだ未来。
ヒトの行動を高精度で予測するシステムが構築されて久しい世界。
各国はこの事実を秘匿し、経済活動の促進や法を犯した者の速やかな捕縛などを目的として行動予測システムの運用を実施していた。
多くの国民は出生時に血液サンプルを採取され、その遺伝子の塩基配列情報を国で保管されている。
さらに複数の分野での技術統合が進み、膨大な数の個人の生活の情報も得ることが可能になった。
人々はその情報を元に行動を監視され、予測され、制御される。
しかし、システムが有効に働かないケースが二つある。
一つ目。遺伝子の塩基配列や経歴等の情報を得ることができない場合。
二つ目。対象者がシステムの存在を知っている場合。
そのような対象者=”異分子”は、しばしば政府が行動を把握できない危険分子と捉えられることがあった。
ある男と少女は異分子の情報を国に譲渡することを生業としている。
システムで予測できない対象の行動を、彼らは予測し、必要とあれば実力行使を伴い、個人情報を得る。
しかし、彼ら自身も一つ間違えれば社会から除かれる可能性があるのだ。
彼らはシステムの存在を知る数少ない民間人。
“異分子”なのだから。
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