力を振るうべき「敵」がいない世界で、人類最強の少年は何を想うのか。
「ファイアーマン」と呼ばれる饒舌な殺人鬼の存在を知る者はあまりにも多く、だが、その内側を知る人間はあまりにも少なかった。
2024年。
「耳無し」のヘルメットを被る少年、初島 士郎。
少年は家から出て、顔を隠し、耳を閉じて、殺人鬼と出会い、追い、求める。
その幼すぎる心の主が持つのは、アスファルトを砕き、ナイフを弾き、人をいとも簡単に殺せる怪力。
インターネットには愉快な動画があふれ、若者がスマートフォンを握り談笑し、車が空を飛ぶこともない、十年前と何も変わらない未来。
これはヒーローになることができなかった少年の物語。
そしてよくある超能力物の始まりの瞬間の物語でもあります。
※「カクヨム」と重複投稿