かつてアスガルドは魔族に支配されていた。
強大な力と数の前になすすべもなく、多種多様な種族が奴隷の如く扱われていた。
唯一抵抗できていた種族はエルフ、ドワーフ、ドラゴンの三種族のみ
そして、もっとも扱いが酷く無力だったのは人族だった。
ドワーフのような技術もなく
エルフのような魔法は使えず
ドラゴンのような強者で叡智に優れているわけでもない
なんの力もない虐げられるだけの生まれながらの弱者、それが人族だった。
けれど、数だけは多かった。
エルフは100年に一度子を宿すかどうか
ドワーフはほとんどが男で生まれるため女が少なく
ドラゴンは群れを嫌い子を宿すのはごく僅
それに比べて人族は繁殖力に優れていた。
数だけで言えば魔族と同等だった。
人族の誰もが思い願った…力さえあればと
死にたくても自害は魔法で封じられ、魔族の気まぐれで生かされ、気まぐれで殺され、なんのために生きているのか
いずれは抵抗している種族も支配される
そうなれば誰も魔族には逆らえなくなる
それでいいのか?いいはずがない
力…力さえあれば…。
人族が強く願ったそれをどの種族も願い、思いが重なりあった時、エルフの王ガスタルフが言った。
人族に魔法を教えようと
そしてエルフは人族に魔法を伝えた。
だけど、人族は魔法が使えなかった。
それを知ったドワーフの王エドモンドが言った。
ならば、魔法を使えるようになる武器を作ろうと
そしてドワーフは人族に武器を与えた。
されど、人族はそれを扱う知恵を持たなかった。
それを知った名も無き最古のドラゴンが言った。
我が叡智を授けようと
ドラゴンは人族に叡智を授けた
三種族の王によって人間は魔法の力を得た。
もっとも弱かった人族が魔族に反旗を翻す。
されど相手は強大な力をもった魔族、力を得たとしても人族だけでは勝てない。
しかし、人族に力を与えた三種族、そして人族以外の虐げられてきた種族がいた。
人族が反旗を翻した12年後、最後の魔王アルカスを人族の長良総司(ながらそうじ)が倒し戦いは終わりをつげた。
それから何万年もの時が流れ、そんな物語も忘れさられた頃、魔歴23年
多くの土地を人族が所有し、当たり前のように武器を用いた魔法を人族が使いこなし、争いは魔族から人間同士へと移り変わっていた時代。
これは、そんな時代に生きた1人の青年の物語
作品情報
ハイファンタジー[ファンタジー]
残酷な描写あり
最終更新日:2016年11月13日
ラブコメ 男主人公 魔術 ファンタジー ネット小説大賞五
読了時間:約288分(143,669文字)