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歩くはな (あらすじ)  夢見る歌手を紆余曲折ありながらも、まっすぐに目指して生きる璃花。社会に出て間もなくして身にしみる厳しさを知らされる大きな挫折からいつまでも抜け出せず堕落を重ねる義倫。日本中を震撼させた無差別殺人、殺傷事件に巻き込まれた中瀬一家の人生が多方の角度から絡み合う物語。  夢と希望に満ちた璃花は高校を卒業後歌手を目指し上京をするが、思い描く世界を見つけるに至らず、幾年も重ねるうちに思うように声が出なくなり、静かに埋もれて行く。 ある時、国民的人気歌手のNaoにひょんなことから気に入られ、僅かな光明を感じるチャンスを得る。 親友の撮影した動画の中に偶然にも以前から気になっていた行きつけのBar Darwin's Beagleにある写真の男を発見する。少しずつ好転を見せはじめた毎日に高揚する気持ちを抑えきれず、しかしそのタイミングですべてに水を差す事件が起きる。    義倫は社会の厳しさを知り、すべては自分の思うようには運ばないと理解すると共に、道を見失い腐った生活を送る。 そんな毎日のある日、古くから妹のような関係でいる幼馴染から女性の紹介話を持ちかけられる。あまりにも突拍子のなく理解に苦しむその話の内容に答えをはぐらかすが、ウェブ検索で現れたその女性の容姿に一転、不覚にも胸は大きく高鳴り始めるのだった。  アルバイト終わりに義倫は駅で一人の浮浪者に話しかけられる。男の話す不思議な内容に興味を惹かれ、誘われるまま浮浪者の住むブルーシートの小屋まで付いて行く。そこにあったのは想像を絶する人の闇と幻想的な世界だった。 そこで男の過去を聞くことになる。男の正体は幾年も経過し、風化してはいるが、引っぱり出す記憶には色濃く残る世間を震撼させた無差別殺人、殺傷事件の場で一命を取り留めた被害者中瀬であった。  璃花と義倫と中瀬、三者を取り巻く家族や友人、それぞれの人生の線が絶妙に重なり合い、絡み、逝く者と、残される者の見える世界から“生きる”ということを儚い恋を交えて熱く描く。
作品情報
ノンジャンル[ノンジャンル] 残酷な描写あり
最終更新日:2016年02月17日
読了時間:約1分(392文字)