ペキペキ、ペキカン、カンペキ。同じ言葉を何度も繰り返しているうちに、おかしくなって笑ってしまう。
左、上、右、下、斜め左上、斜め右上、斜め右下、斜め左下、と順に繰り返す。繰り返す場所は、ものはなんだっていい。トイレのドアにつけられた明り取りの四角いガラス窓だったり、引き戸の上に飾られた額縁入り時計付きの夕日沈む海でのヨットの写真だったり、金魚の入った水槽だったり、西洋人形の入ったプラスチックのケースだったり、あるいは、コンクリートの玄関床だったり、下水の上を覆う敷居の鉄板だったり、なんでもいい。それを見て、左上下右と繰り返しているうちに、おかしくなってくる。ぼーっとして、あったかい土曜の昼過ぎに、一人でいるとき、そんな風にしてあお向けに寝転がっていた子供のころの思い出。