善意は悪意の上に存在している───
その言葉は男を呪いのように縛り付けていた。
ここはエーゼル公国主要都市「ラ・クロークハーツ」
金、名声、権力全てが手に入る場所。
人々はここに野望を、成り上がりを夢見て足を運ぶ。そして敗れ、去る。
力あるものしか存在が許されない弱肉強食の場所で悪名を轟かせる傭兵「カニバル・ドット」
その男、漆黒の髪を無造作にオールバックで固め、背中の相棒は傷だらけの細身の大剣。
気にいらない者、癪に障る者、邪魔をする者、全てを切り捨る。
これは、そんな悪の大本山の様な男の物語である。