主人公、逢丘《あいおか》騎春《きはる》は数年前に交通事故で愛しい彼女を失い、自宅警備員という称号を手に入れた。 　起きてはパーソナルコンピューターの前でネットサーフィン、鼻息をフンフンと鳴らしながら二次画像を集める日々。彼は満足していた。 　そんなある日、操作していないにも関わらず画面には多くの【Delete】の文字が現れた。 　全ての二次画像が文字通り消去された後、ディスプレイには文章が連なっていた。 【堕落《だらく》した人生を愉悦《ゆえつ》も無く歩む事に意味は在るのですか】 【別の人生を歩もうとは思いませんか】 　己の人生が堕落していることを知っていた騎春は『そりゃあ、もちろん』と答え、ディスプレイから伸びてきた神様の手によって絞殺され、魔法の存在する世界に転生した。 　神様から告げられた転生する理由、【この世界の異物を排除せよ】という言葉を胸に秘めて。 　それから騎春は旅をする。 　地上階層《ガイア》、天空階層《ディオネ》、深海階層《トリトン》という大きいダンジョンを攻略する旅を――。

【恋心】。それはいつでも淡く、そして切ないものだ。 ★この作品は【E★エブリスタ】から転載したものです。自作品です。

　一ヵ月程前、"交通事故"に遭い視力を完全に失った主人公、優(ユウ)は絶望感に苛まれていた。 　視力の無い世界は何もかもを奪った。思考、行動、態度、性格、癖…。 　そのあまりの苦痛に耐えられなかった優はついに愛を誓った彼女、綾香(アヤカ)にでさえ強く当たった。 　少年は気付く。失ったものは戻らないということを。そして、それは失ってから本当の大切さに気付くということを。 　無くなることの無い儚さが無くなることを嫌った主人公は、その儚さを取り戻す為だけに全てを失った。 ―――――― この作品はE★エブリスタで重複投稿しています。