高校卒業以来、非正規の警備員として自堕落な日々を送る「大竹」(28)。
いつも通り仕事の用意を纏めて自宅の扉を開けると、目に入ってきたのは見慣れない西洋風の街並みだった。
剣と魔法の世界、中でも「水の都」と称される街「パッド」に、突然転移した大竹。
この機会に人生を一からやり直そうと試みるも、異世界はそんなに生易しいものではなかった。
どこへ行っても人は人。使い古したボロボロの仕事着を羽織る彼に、優しく接する者はいない。
一銭の持ち合わせすらなく、満足に食事すらとれない。
――途方に暮れる彼に、どういう風の吹き回しか、一人の少女が手を差し伸べた。