小さなハッピーが詰まった短編集です。

赤峰みなみの容姿にコンプレックスを抱えていた。演劇部の演者希望であったが同じく演者希望であった藍染雅水が入ってきたことにより演者を諦めた。彼女はみなみの理想そのもの。しかし彼女は演者として伸び悩んでいた。二人は小道具の宝冠をお互いに被せながら契約を交わす。雅水は言った「あなたの思い通りに動いてあげるから、わたしに相応しい脚本を書いて」。それはイバラの宝冠であった。

白瀬美花は趣味で物語を書いている。しかし友達の『今度書籍化することになった』という言葉に縛られていく。段々と楽しく書けなくなっていく。そんな挫折を得て彼女が選んだ道は。

主人公は布団から出たくない一心で餓死するという度を超した怠け者だった。 そんな彼を見かね根性を叩き直してやろうと使命を与えて転生させたのだったが、そのくらいで彼の怠け癖が治るはずもなく、怠けることを制限する魔術の枷を付けられたのだが、逆にそれはポイントを消費している間はあらゆる物理、魔法から守られ、怠けることが出来る素晴しい力だった。 使命など関係ないとばかりに、ポイントをいかなる手段と方法を使ってでも掻き集め、怠惰で堕落した生活を送るために全力で努力する、怠け者の物語。

青年が異貌の人魚と出逢い、惹かれ、深い水の底に沈んでゆく物語。

青年は従妹が事故の前に眺めた風景を見たいと思った。 それは一枚だけ散らない、桜の花びらだという。 そこで出会った従妹の面影を感じる女性に、彼は一目で惹かれていく。 ■泉鏡花先生の『木精（三尺角拾遺）』をモチーフにしています。

カキナオシ症候群とは、カキナオシウイルスに感染することで発症する恐ろしい病である。 これに感染してしまったら最後、永遠と自分の気がすむまで、作品をカキナオシ続けるのである。

タイトルの通りです。既出ネタかもしれません。

墨染めの暗夜に白無垢姿に行列を引き連れて花嫁が現われた。 「旦那様をお迎えに参りました」 しかしその家には適齢の男性は一人もいなかった。 居ても皆すでに婚姻を結んだ者か、乳離れできていない子どもだけで。 それどころかお通夜の最中だという。 花嫁は言った。 「そこに横たわります人の魂をお迎えに参りました」 妖と死者の異類冥婚譚。 ■モチーフは泉鏡花先生の海神別荘です。

真っ暗な隧道の先。泥臭さの残る排水溝。立ち並ぶカフェー。銘酒の看板。窓から覗く女性。 くたびれた男は失われて久しい銘酒屋の町に迷い込む。 そして美しい私娼の女性と出会う。 ■モチーフは永井荷風先生の濹東綺譚です。