城 蒼生(タチ アオイ)は幼くして両親を失う。
それは凄惨な記憶。家族団らんの旅行先で事件は起きた。
山林の車道を走行中、飛来する巨大な影が車を襲う。
衝撃に横転する車。命からがら車外に飛び出した親子三人が目にしたものはドラゴンだった。
いや、その呼称が正しいかは分からない。しかし、爬虫類の巨躯が翼を広げ咆哮をあげる様は、おとぎ話や神話のそれとピタリと一致した。
父は、母子を逃がすため命を懸けて囮となった。
母は、蒼生を抱きかかえ崖を飛び降り、身を引き換えに我が子を守った。
しばらくして発見、保護された蒼生。
しかし、子供の証言を信じる者はおらず、一件も交通事故として片づけられた。
蒼生は世界を恨み、無力な自分を恨む。そしてなにより両親を手にかけた竜を憎んだ。
蒼生の復讐を誓う。竜を追い求めるにつれ、世界の真実が暴かれていく。