召喚術士の名門に生まれたルイ・タンストールには、魔術の才能が全くなかった。
いくら術式を行使してもプスン、と間抜けな音しか出ず、最弱魔獣のスライムすら召喚できないのだ。
そのせいで当主である父親から失望され、十五の誕生日に家を追い出されてしまう。
さらにはようやく入り込めた冒険者パーティーでも能なし扱いされ、ダンジョンの奥で魔物に襲われたときに囮として取り残されてしまう。
絶体絶命の危機に陥ったルイは自爆覚悟で自分の身体の位置を中心に召喚術式発動させ、魔物と運命を共にする……はずだった。
しかし、それこそがルイの固有スキル『幻獣召喚』の条件だったのだ。
ただのスライムを召喚したはずが『水の精霊』の力を宿し、ルイは今までは蹂躙されるしかなかった魔物を一瞬で蹴散らしてゆく。
一方ルイを置き去りにしたパーティーの面々は、この出来事をきっかけに関係にヒビが入り、凋落の一途を辿ることになるのだった。
これは、無能と呼ばれた召喚術士が最速で英雄への道を駆け上がってゆく物語である……!!
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