記憶を保持し、三度目の生を受けた男は、今度こそ完璧な人生を送ろうと画策する。 同じ世界の違う場所で、冒険者に憧れ、旅立った少女。

　死者の書。 　生涯に一度だけ読むことができると伝えられる。膨大な死者達の物語と……命を一つだけ、望むままに扱う術が記されていると言う―― ※章毎に完結する物語です。続き物ではありません。

　　※2017冬の童話祭、季節廻る国の童話への出品作品。 　春夏秋冬、季節は廻る。 　春に芽吹いた命は夏の日差しに育まれ、火照った体を秋の風がゆっくりと冷ます。やがて来る試練に備え、命は眠りに就く。 　そして、冬が訪れる。命が息を潜める、静寂の季節―― 2022/1/16加筆、修正

「我は魔王なり」 　それは、突然だった。 　世界中のあらゆる通信に、眠る者の夢に、魔王を名乗る男が現れた。 「これより、現世と魔界は重なり一つとなる――」

　引きこもりのバーテンと常連客、今日は何を思うのか……。

　人生を終え、トコヨに暮らす男、幸島大（こうじまひろし）。 　ある日、学生時代に密かに恋心を抱いていた女の子と再会する。死後の世界で、遠い日の恋が成就するかと思われた――その時、忌まわしい女と再会してしまう……。

　日々、世界は増殖する。 　世界の数だけ理が生まれ、それに即した新な主が誕生する――

廃屋で人形と逢瀬を重ねる男。 愛か、狂気か、それとも……

かつての冒険者達へ。