「どうでもいいけど、野母崎さん。──どうして『貴女たち』って自分の」
琴海さんの言葉はチャイムによって遮られた。
彼女が何を尋ねようとしていたのか。その質問を改めて口にしたのは、全てが終わった後だった。
中学二年の野母崎は思春期の間だけ発症するという奇病、インシグニア症を発症した。
身体にアザが浮かび上がるこの病気は、それ以外に健康を害しはしない。
彼女は去年同じように疾患したクラスメイトの高島の事を思い出していた。
自殺してしまった少女の事を。
インシグニア症を発症してから野母崎が経験する学校の異変。モンスター。魔法少女。
これは思春期を終わらせる物語。
人物名 野母崎(のもざき) 高島(たかしま) 高来(たかき) 琴海(きんかい) 外海(そとめ) 三和(みわ)