「一度だけでいいのです。それで私は満足いたします。神さま、一発殴らせて頂いてよろしいですか?」
アラベスク家の令嬢、レイチェル・アラベスクは世界で最も完璧な存在だ。
誰よりも美しく、知識に優れ、魔法と工学に長けた魔導技師であると同時に、あらゆる人々から愛される星のもとに生まれている──人々は彼女のことをこう呼んだ。「神に最も近しい聖女」と。
だが、それには理由があった。
レイチェルは世界の創造主であり管理者である「神さま」が、調子に乗った結果、一人の人間に本来ならあり得ないほどの加護や祝福を盛りまくった末に生み出された「失敗作」だった。
レイチェルはあまりに優秀すぎた。
このまま成長していけば、世界の歴史を彼女色に染め上げ、その頂点に君臨することすら容易なほどに。
そこで、この事態を重く見た神さまは彼女を自分の世界から追放する決意を下す――神なき世界、西暦2025年の東京へと。
だが、一年が経過したのち、レイチェルは自らの力で帰ってきた。
現代日本の生活で更に能力を高め、世間を知り、ついには理を超えて創造主である神に迫るほどの存在になっていた。それでも、レイチェルの目的は「家族と一緒に暮らすこと」。そして「それはそれとして神さまがムカつくので一発ブン殴ること!」。
「たった一度でいいのです。それだけで私は満足いたします。神さま、一発殴らせて頂いてよろしいですか?」
「ヒトの分際で神に触れようなんて生意気なんだよ、バァーカ! 今度は永久に帰ってこれない場所に追放してやる!」
レイチェルは神の顔面を一発殴ることを条件に一生婚約も結婚もせず、子供も生まず隠居することを約束するが、神さまが殴られることを拒否したために交渉は決裂。
レイチェルは神さまに条件を呑ませるためだけに世界へ爪痕を残し始め、神さまはそれを阻止するために躍起になる。
だが二人はまだ気付いていない。お互いこそが最良・最強・最愛の存在であることに。
アイリスIF6大賞 GOマンガ原作者大賞 女主人公 西洋 チート 内政 日常 ハッピーエンド 身分差 ラブコメ ケンカップル 追放 人間×神
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