かつて英雄と呼ばれた心折れた女剣士が拾ったのは、名前も知らない幼い子供だった。
魔獣と呼ばれる怪物たち、そして魔獣を率いる災厄の王。
その脅威に人類が絶望に打ちひしがれていた時代、そんな時代に現れたのが二人の英雄————イーファ・フィレナとサーシャ・オルガノだった。
最強の剣士と最強の魔法使いとして数々の戦場を駆け抜けた彼女たちは、旅路の果てに災厄の王を討ち取り、長き戦いに終止符を打った。
しかし、激闘の末に相棒であるサーシャを失ったイーファは深い喪失感から姿を消し、人里離れた農村で孤独に隠遁生活を送る。
十年の時が過ぎ、過去の栄光も人々の記憶も風化していく中、ある街に訪れたイーファは街の教会で魔力の結界に守られた捨て子を拾うことに。
その子供———碧眼を持つ少女を育てる決意をしたことで、彼女の静かな日常は一変する。
「母親」という未知への挑戦と、過去の記憶と心の傷、過去の因縁が変わろうとするイーファに襲い掛かる…
これは過去の傷に怯える母と天真爛漫な娘が織り成す物語…