私達は、大人にはなれない――
20年の寿命を背負い生きる少年少女らは、農耕をし、狩りをし、原始的に日々を送っていた。それでも不自由はなく、少しずつながらも生まれ育った大樹を中心に生活圏を拡大していた。
その生活圏の遥か先に続く、朽ちた石の建造物。失われた技術によって作られたであろうそれを何か解き明かすのが、今の世代の使命だった。
ある日、彼らの下へ一人の男が現れた。
若々しい姿とは正反対の、老けを感じるような顔。ぼうぼうに生えた不衛生な無精髭。明らかに異質な存在。
弓を、槍を構える彼らに男はこう言った。
「そんな警戒しないで欲しい。俺はお前らで言うところの、大人ってやつだ」
これは彼らの呪いを解き明かす、進歩と絶望の物語。
「待っていて。必ず助けてみせるから」
何百年、何千年経ってでも。